毒とジュエリー時々整体

日々のつぶやき

鍛造とは?


ひと昔前なら鍛造と言ったら

刀鍛冶よろしく職人さんが何千何万回と気の遠くなるほど金属を叩いて作る物という認識があった。


しかし、今ではこうした世界も機械化が進み、最初から最後まで全て機械で仕上げるものが主流になってきている。

要は金属を固く圧縮し、中の空気が無くなれば良いわけだから、機械で締め上げればこの上なく頑丈になる。


他にも、金属の固まりを機械で圧縮してある程度まで薄く伸ばした物を職人さんが叩いて仕上げる、というやり方もあるようだ。


さらには普通に鋳造で作っておいて、手作業で鎚目をつけて"鍛造"とか"手作り"などと謳うものすらちらほら見かける(詐欺まがいのような気がするのは私にだけ?)


ジュエリーの世界で言ったら、日本でも人気のクリスチャンバウアーやフラージャコーなどは完全機械鍛造である。

非常に頑丈で美しいのだが、私の個人的な感想を言えば

どこか無機質で冷たい感じがする。

ただ、買ったまま何年も変わらない姿を求める人にはぴったりだと思う。


これまた個人的な好みだけど

私は身につけるなら断然オール手作業の鍛造ジュエリーがいい。

職人さんの腕次第だし、同じ人が作っても多少の出来不出来があったりするのだけれど

厚みが均一でなかったり、少しいびつだったりといった"人の手"を感じられるところが大好き。

こうした手作り感満載のジュエリーを何年も使い続けるうちに、傷がついたり変形したり…

最初のピカピカした輝きはなくなってしまうけれど

なんとも言えない使い込まれた感がとても良い味わいとなり

その人だけの唯一無二のジュエリーとなるように思う。


別に鋳造でも使い込まれた感は楽しめるのだけど

空気が抜かれてない分、鋳造は長く使ううちに割れたり壊れたりという事が起こりやすい。

だからたまに使う物は鋳造でも構わないが、毎日身につけるなら鍛造だと思う。

ベニシアさん


イギリス人のベニシアさんは

京都の古民家に住み、薔薇やハーブを育てていた。

家が古いので電化製品が使えず、従ってエアコンは無し、掃除もほうきと雑巾で、と暮らし方も古風。

料理やお菓子も手作り、季節毎のイベント(特にイギリスの物)を大切にしていた。


こういうのを"丁寧な暮らし"というのだろう。


私も古民家や手仕事が大好きなので、ベニシアさんの暮らしぶりは憧れだった。

テレビでお見かけするとかじりつくように見ていたし、

無農薬で薔薇を育てるやり方など参考にさせてもらっていた。


そのベニシアさん、最近になって施設にお入りになったという。


年下でまだまだお元気な旦那様と3人のお子様、そしてベニシアさんのことが大好きで援助の手を惜しまない沢山のご友人、

そんな方々に囲まれているにも関わらず、

"迷惑をかけたくない"

と施設で暮らす事を選んだベニシアさん。


きっとベニシアさんのその決断は周りの人達を悲しませ、傷つけた事だろう。


なんて誇り高きいかにもイギリス子爵の末裔らしい生き方!


終の住処と思い決めたその場所でベニシアさんはベニシアさんらしく生きていかれることと思う。


覗き見趣味みたいなのは嫌なのでこれまであまりベニシアさんの過去を見たりはしていなかったが

今回のことでWikipediaを見てその波乱万丈の人生にびっくりした。

辛いことの多かったベニシアさんのこれからが安らぎに満ちた日々でありますように。


純金リング 2


アレルギーで身につけられない上にいわくもついてる指輪を

何年もタンスの肥やしにしていたけれど

ある時ふと、これを下取りに出して純金リングを作ってもらおう、そう思った。


そう思いついた時、

同じくタンスの肥やし化していた18金のチェーンとペンダントヘッドも下取りに出そうと思った。

これは新婚旅行でエジプトに行った時、連れて行かれた金のお店で買った物で、二つ合わせて58000円だった。

高いか安いか良くわからない値段だが、チェーンは使いまわせるし

金製だからずっと使えるだろうと(当時は相当おバカだったので)

値切りが当たり前のエジプトで値下げ交渉もせずにあっさり言い値で買った。

値札は付いていなかったのでぼったくられたのかもしれない(笑)

それでもその頃はエジプトにハマっていたので、いかにもエジプトらしい金製品が買えて

嬉しくて仕方なかった。

帰国してからもずっと愛用していた。

しかし、前述した通り、金属アレルギーとなり使えなくなった。

エジプトで観光客が宝石や金を買うと大体が偽物をつかまされると知ったのはずっと後になってからの事…。

(実際、私の母がエジプトで買った宝石はどれも偽物だった)

だから下取りに出して真贋を知りたいという気持ちもあった。

たとえ偽物でも何年も身に付けて楽しんだからいいや、とも思った。


結論から言うと

チェーンもヘッドもどちらも本物の金だった。

長年本物かな?と疑っていたので分かって非常にスッキリ出来た。


リフォームも様々なやり方があるが、

私はこれらを

下取りに出してそのお金で純金を仕入れ、さらに指輪を作る、

というのを全部やってくれる店にお願いした。


余談になるが

いちいち代わりにやってもらうわけなのでその分手数料が上乗せされる。

それが嫌なら自分でグラム買いをしている所へ売りに行き、

貴金属の卸売りの店で純金を買い、

それから工賃のみで製作してくれる工房で作ってもらえばかなり格安で出来ると思う。

私も最初はそうしようと考えて調べてみたが、時間も手間もかかり過ぎるので断念した。


指輪とエジプトの金製品を下取りに出して仕入れられた純金はなんと20グラム程度あった。

そこから鍛造でごくシンプルな純金リングを作ってもらう事にした。

ちなみに鍛造というのもこだわった点である。


●指輪を作った後の余った金は返してもらい、工賃を支払う


または


●余った金は引き取ってもらい、それを工賃を含めた諸経費にあてる


という2択から後者を選んだ。

(本当は金を返してもらった方が今後値上がりするだろうからお得かも?)


これまでジュエリーが好きと公言しながらも

鍛造とか鋳造とか考えた事もなく

選ぶ際の基準にした事もなかった。

それがある方の話を聞いて以来、ずっと身につけるなら鍛造が良いなと思うようになった。

だから出来上がった指輪を身につけた時の感動といったら相当なものだった。

職人さんの腕にもよるのかもしれないけれど

この道一筋に40年以上やってきた職人さんが作った指輪は

みっちりと詰まった感があり、非常になめらかなつけ心地であった。

もちろん鋳造には鋳造の良さがあるのだが、日常的に肌身離さず着けるなら

断然鍛造だと思った。


そして驚く事に、工賃その他諸経費を差し引いてもなお余ったとの事で

指輪と一緒に現金18000円が返ってきた。

言わなければ分からないのになんて正直な明朗会計!

こういう事があると尚更この新しい指輪は縁起が良いような気がする(笑)


一つ残念なことは

下取りに出した物を写真に残さなかった事。

撮っておけば良かったなぁ…

と今はもう私の記憶の中にしか存在しない

あのド派手な太いリングと、いかにもエジプトエジプトした独特のペンダントヘッドを

時々妙に懐かしくそしてありありと思い出すのである。