毒とジュエリー時々整体

日々のつぶやき

やさしい傷



ジュエリーのお話です。

ご興味の無い方は

ここでさよならでお願いします。



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ジュエリーが好きというよりは

"指輪"というものが好きで

ピアス、ブレスレット、ペンダント

全く興味がないし、実際、持ってもいない。


20代の頃は色とりどりの宝石に惹かれて

小さな石がついた薄っぺらなリングを

沢山集めていたが、一生ものと信じたそれらは

年齢とともに似合わなくなり、

結局全部集めて下取りに出して

シンプルな指輪を一つ作ってもらった。

その道一筋何十年の職人さんが叩いて作る

昔ながらの鍛造リングである。

魂こもってる。


私はその手作りの指輪を

"育てる"という意識で日々身につけていて

時折指から外して些細に眺めるのを

とても楽しみにしている。

分からない人には全く分からないであろう。

しかし、こうした経年変化を楽しむ人たちは

一定数いるのである。


この指輪を見た友人が自分も欲しい

というので工房を紹介した。

友人も使わなくなったピアスやら

シルバー製品やらをかき集めて下取りに出し

そこから指輪を一つ作ってもらった。

(ここの工房はシルバーも引き取ってくれるので

とてもありがたい)

私が作ってもらった指輪を参考に頼んだので

出来上がってみたらまるでペアリングのようだった。


それでも、経年変化は人それぞれ。

一緒に使い始めても歳月を重ねれば重ねるほど

全く違うものへと育っていく。

まさに唯一無二。


三年もの月日が流れてみると

友人の指輪は眩いばかりにピカピカとなり

私の指輪は鎚目のようなポコポコした

打ち痕が沢山ついている。

あんなにそっくりだったのに

今は全くの別物みたいだ。


夜、寝る前のひと時

指輪の"育ち具合"をしばし眺める。

傷は沢山ついているけれど

なんだか"優しい傷"だなあ、と思う。


傷に"やさしい"って我ながら意味不明だ。

でも、そう思うんだよね。

自分のだけじゃなくて

人が大切に身につけている指輪を見ても

それがどんなに傷だらけだったとしても

やっぱりなにか"大事にしてる"ということが

伝わってきたりする。

使い込まれ、角が取れて、丸っこくなって

そんな誰かの愛用品を見せてもらうのも

とてもいい時間。

分からない人には何をそんなに

しげしげと眺める余地があるのか、と

不思議がられるけれど

分かる人には分かる、この世界(笑)。