毒とジュエリー時々整体

日々のつぶやき

ぴんしゃんころり



誰もが言う


ぴんしゃんころりと逝きたい、と。



私もそう思っていた。



しかし、祖父に突然死なれて

考えが変わった。


祖父はいくつになっても非常に若々しく

足腰はしっかりしており、目も耳も良く

頭脳も明晰だった。


おじいちゃんのように歳を取れるなら

長生きも悪くない

と、家族は皆そう言った。


しかし、元気はつらつとしていた祖父は

ある日突然、ぽっくりと逝ったのだった。


寝たきりとか痴呆とかであれば

それもまた良かったのかもしれないが

とにかくスーパーおじいちゃんだったので

誰もがまだまだ長生きすると信じて疑わず

本人も軽く100歳まで生きる気でいたので

おそらく本人が1番びっくりしただろう。


身内がなんの前触れもなく

突然いなくなるというのは

何かおかしな気持ちになる。


図書館で借りたばかりの本、

買ったばかりの帽子

書きかけの手紙

つい昨日まで祖父が暮らしていた形跡が

ありありと残っているのに

本人だけがフッとかき消すようにいない。

日常の途中でいなくなったのだから

部屋には見られたくないものも

沢山あったことだろう。


そうしたものを目の当たりにしてみて

私はぽっくり逝くより

大病をして余命宣告をされ

緩和ケアを受けながら

自分で自分の後始末を済ませて

綺麗に旅立ちたい、と思うようになった。


そうなるかは誰にも分からないが、

せめて60になったら一旦持ち物を整理し

そこからの人生はおまけだと思って

簡素に楽に生きていこうと思う。