職人さんに脱帽した話
一切の誇張なく全て実話です
代々職人の家に生まれた人がいて
その人は後を継がなかったけれど
いわゆる門前の小僧というやつで
手仕事は大抵なんでも器用にこなす。
その人は、人が手で作ったものなら
見ただけで大体のことが分かるという。
それなら、と
私はいそいそと2つの指輪を持ってきた。
甲丸と平打ち、
どちらも同じ工房で作っていただいた物。
どんなことが分かるのかな?
興味津々。
その人は2つの指輪を手に取り
ふーん、なるほどー
など言いながらしばらく眺めたあと
平打ちの方は、とても誠実に作られてる。
何度も何度も確かめながら
一生懸命作った、という感じがする。
上手いんだけど、達人というレベルではないね。
甲丸の方は相当の凄腕達人が作った感じ。
平打ちのみたいに何度も慎重に確かめながら
というよりは、長年の勘でパパッと
一発勝負みたいに作ってるんじゃないかな。
とスラスラと見てきたかのように言う。
…(O_O)
いや、もう、参りました。
私も現場を見たわけではないが
どちらも使わなくなった手持ちの貴金属を
集めて作ってもらった物で、
甲丸はその工房の社長さんの手による物で、
希望のサイズだけ伝えてあとはお任せで
作っていただいた。
平打ちはお弟子さんが手がけたもので、
サイズ、幅、厚み、重さ、全て細かく
指定して作ってもらった。
(だから作るの大変だっただろうと思う)
社長さんはご高齢ながら
凄腕の達人と評判の方で
お弟子さんはそこまでの域ではないものの
職人歴40年で腕が良いことに定評がある。
そんなこんなを全て分かってしまうなんて
本当にびっくり。
私なんて、2つの指輪を手に持っても
全く何も感じないし違いも分からない。
どちらが誰の製作したものかも
訊いて初めて知ったくらいだ。
あまりにびっくりしたので
次は寄木細工を見てもらおうとしたら
長年開けてなかったせいか
うまく動かなくなっていたので
見てもらうどころか直してもらった。
仕組みを説明し、動き方を教えたら
どこがどうなって動かないかを突き止め
チャッチャッと直してくれた。
あー、もう、ホント、脱帽!
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