毒とジュエリー時々整体

日々のつぶやき

アラジンと魔法のランプ


子供の頃、母が買ってくれた本の中に

アラジンと魔法のランプというお話が

入っていた。

ディズニーで映画化されたものとは

ストーリーが微妙に違っていて

どちらかというと"三年寝太郎"みたいな

どうしようもない怠け者が棚ぼた的に幸運を掴む

そんな話だった。


この話はアラビアンナイトの中の一つとされてきたが

近年の研究では元々の原典には入っておらず

広く世に伝わるうちにいつの間にか挿話されたもの

ということが分かっている。

なんと"ヒラケゴマ"でお馴染みの

アリババと40人の盗賊も原典にはないのだそうだ。

こういうものを"遺児著作物"というのだそうだ。

また、写本により少しずつ内容も違っている。


母が買ってくれた本は

シンドバッドの冒険というお話(1話完結で何話もある)がメインで納められていて

アラジンのお話は長い長いシンドバッドのシリーズの後に載っているとても短い話だった。

しかもあまり子供向けとは言えない内容だった。


まず、アラジンは大人になっても働くことをせず

いつも近所の子供達と遊んでおり同居の母に食べさせてもらっていた。

今でいうところの"子供部屋おじさん"である。


アラジンのそのクズっぷりに目をつけたのが

悪い魔法使いだった。

こんな奴がいなくなっても誰も困らないだろう

そう思った悪い魔法使いはアラジンに

自分はお前の叔父さんだと嘘をついて近づき、

毎日連れ歩いて"いい目をみせる"

これですっかりアラジンを手なづけた上で

秘密の場所へ連れて行って呪文を唱えると

洞窟が出現する。


魔法使いは自分のはめていた魔法の指輪を

お守りにとアラジンの指へはめてやり

洞窟の奥にあるランプを取ってくるよう命じる。

アラジンは素直に言いつけに従いランプを取ってくる。

魔法使いはそのランプを受け取ったら洞窟を塞ぎ

アラジンを閉じ込めて立ち去ろうと目論んでいたので

まずランプを自分に渡すよう言うのだが、

アラジンは懐に入れたランプが引っかかって取り出せないので

先に自分を引っ張りあげてくれと言う。 


押し問答の末、魔法使いは怒って洞窟を塞ぎ

去ってしまった。

アラジンに貸した魔法の指輪を取り返すのも忘れ、ランプも諦めたのだ。 


洞窟の中に閉じ込められたアラジンはというと

何かの拍子に懐に入れたランプが擦れてそこから現れた魔人に外に出してもらう。

そして家に戻り、ランプから出てくる魔人に

食べ物を出してもらいそれで母親と食い繋ぎ

食べ終えるとお皿を売りに町に出るようになった。

そこでお姫様の噂を聞き、ぜひ結婚したいと思ってランプの魔人を呼び出し貢ぎ物を出してもらう。

(このあたりは現在だと差別的として出版停止となるような表現がたくさん出てくる)

貢ぎ物を受け取った王様は、これだけでは娘はやれない

一晩のうちに御殿を建てることが出来たら結婚を許す

という。

アラジンはこれまたランプの力を借りて御殿を建てる。

そしてお姫様と結婚するのだ。


これを読んだ時、幼心に大人になっても

子供と遊び暮らすアラジンに好感が持てず

ランプの力でお姫様と結婚しても良かった良かった

とはとても思えず、子供心になんか変な話だな

と思ったのだった。

自分がお姫様ならこんな人嫌だ。

でも、魔法の指輪にはまのすごく心惹かれた。

お話の中では魔法のランプが活躍するが

私はランプより指輪が欲しいと思った。

それがどんな指輪だったのか描写がないので

想像するしかないのだけれど

大人になった今でも心のどこかで

巡り合ってみたいという思いがある。



NHKで放送された時の魔法の指輪。