British Gentleman
数年前の夏、フランスの小さな田舎で2週間ばかりキャンプをした。
その時、"日本人ですか?"と日本語で声をかけてきた人がいた。
外国で日本語で話しかけてくる人には要注意とよく言われるが、なるほど、その人もなんとなく怪しい空気があった。
初老の白人男性で、背が高くがっしりした体つきで屈強な感じ。
ニコニコというよりニヤニヤとした笑顔を浮かべていた。
あーやーしーい:(;゙゚'ω゚'):
(ちなみにその時私には連れがいた)
こちらの警戒を察したのか、二言三言やり取りした後、彼は名前を名乗り去っていった。
私も連れも名前は教えなかった。
ところが、その後もなぜか何度もばったり出会うのである。
警戒はしているが、礼儀として挨拶くらいはする。
そのうちこちらも名前を教え、少しずつ会話も長くなり
とうとう彼のバイクの後ろに乗せてもらってフランスの田舎道を走り回ったり、キャンプ場の近くの街へ観光に出かけたりするようになった。
(しつこいようだが、この時私には連れがいた)
彼はイギリスから来ていて、英語と日本語とフランス語が堪能だったので、キャンプ場の人達と話す時には通訳もしてもらった。
キャンプ場にいたのはフランス人がメインで、あとはベルギーとかスイスなど近隣の国の人達だったため皆で話す時はフランス語だった。
結局、彼のお陰で2週間の滞在は素晴らしく思い出深いものとなった。
警戒してなかなか打ち解けようとしなかった自分が恥ずかしくなるようだった。
そして…
ちょうど2年前の今日、
私達は再会した。
日本で。
半分仕事で半分遊び、という来日であったが、偶然にもその仕事先が私の実家がある街だった。
たとえそんな偶然がなくても、どこにだって会いに行くつもりだった。
実家に招待し、両親と共にお茶を飲みながら語り合い、過去の事故で不自由になってる腕を施術させてもらった。
送って行った駅の前でさよならする時に、ものすごく巧みにキスさせられてしまった。
(両頬にチュッチュッとやるやつね)
田舎だからみんなに見られてちょっと恥ずかしかったが、同時にやらざるを得ないようにスマートに誘導してくるのがさすが英国紳士ね、と妙に感心してしまった。
それからもう一回、日本中をあちこち歩き回る彼と予定を合わせて東京でも会った。
この時は時を忘れて沢山のことを語り合ってとてもとても濃い時間を過ごせた。
次の再会はイギリスで、と約束したものの、このようなご時世でなかなか果たせないでいる。
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