毒とジュエリー時々整体

日々のつぶやき

レイテ戦記



作家大岡昇平の


レイテ戦記


は、自身の戦争体験を


ありのままに綴った貴重な記録だ。


戦後心の傷に苦しみもがく作者に

生涯の友であり師でもあった

小林秀雄が筆を取るよう勧め

その結果生まれた作者の代表作である。

(本人は戦争作家と呼ばれることに

拒否感があったということだが)



38才という高齢ながら徴兵された作者は

若者に混じって出兵し

そこでありとあらゆる体験をして

所属部隊の中で一人生き残り

アメリカの捕虜となる。

それらの体験の全てが非常に細かく

時系列に沿って克明に書かれていて

読者に戦争中の世界を追体験させてくれる。



本人の描写力の素晴らしさもあり

読んでいると目の前にその光景が

ありありと浮かぶ。


同じく大岡昇平の

「野火」という作品も素晴らしい。

こちらは小説となっているため

レイテ戦記よりは読みやすい。

私はこの小説を何度読んだかしれない。



私がこの人の戦争体験や捕虜になった話を

何度も何度も読むのは

祖父もまた徴兵されシベリア抑留されているからだ。

昇平の文章の中に無意識に祖父の姿を探す。

戦争体験を決して話してくれなかった祖父。

戦友を何より大切にしていた祖父。

心の中に秘めた思いをほんの少し

垣間見る気がするから。





8月15日に寄せて