約1週間近く続いた体調不良

その話はまた書くとして…

何も物を食べられなかった数日間

私の命を繋いでくれたものが２つ

１つはガリガリくん

桃味、果汁入り。

これ普通のガリガリ君シリーズではなく

"大人なガリガリ君"ということだが

たしかに、中の氷があまりガリガリしておらず

小さくなめらかな食感だった。

そして、果汁が33%も入ってるせいか

非常に桃の良い香りがしておいしくて

お手軽な栄養補給としてとても良かった。

もう一つは

インスタント味噌汁(生味噌タイプ)

ご飯なんて作りたくないし食欲もない

でも何か少しはお腹に入れたい、という時

お湯を沸かすだけで良くて

お味噌の塩気が何も食べてない身体に染みて

ゆっくり啜っているとホッと出来た。

どちらもまさに、食べる点滴。

ショッピングモールの片隅で

"栄養士があなたの朝ごはんを診断します"

というイベントみたいなのをやっていたので

面白そうだと思って挑戦してみた。

大きなテーブルの上に、

パン、ご飯、うどん、お肉、卵などなど

絵のついたカードが並べられている。

そこから好きな物を選んでお盆に乗せて

自分なりの朝ごはんを完成させ

栄養士さんに見てもらう、という仕組み。

ふむふむ

私は旅館の朝ごはんみたいな

ボリュームたっぷりなのが大好きなので

普段はパンとカフェオレだけど

この時は

ご飯、納豆、味噌汁、焼き魚、おひたし

と、"ザ・日本の朝ごはん"を完成させ

これは相当点数高いはず！

と意気揚々として栄養士さんの所へ行った。

ところが、栄養士さんはお盆を見て

これは塩分過多です

といきなりビシッとダメ出しをした。

え？

一見これ健康そうですよね？

でも、お味噌汁に塩分入ってますよね？

お魚も焼く時お塩ふるでしょう？

それから納豆、タレをかけるからまた塩分

おひたしも食べる時お醤油かけるでしょう？

えーーーーーっ！！！

料理をするときは塩の量に気を使うけど

お味噌汁とか納豆のタレとか

全く気にしていなかった。

ザ・和食な朝ごはんは健康に悪いらしい。

無料イベントだったのもあるのか

栄養士さんは朝ごはん診断はしてくれたけど

ではどんな献立なら良いのかということは

教えてくれなかった（笑）

私は参加者全員にもらえる焼きのりをもらい

思いがけない結果に少しばかりショックを受けながら会場を後にしたのだった。

とても古くていい感じのセピア色した

老舗の喫茶店に座っていたら

斜め前の席に年配の男性がきた。

見るからに上質なスーツを着て

パリッとした格好をしている。

その老紳士はとても優雅な手つきで

ゆっくりとタバコを吸った。

それから鞄からリボンのかかった

小さな箱を取り出し、ためつすがめつ眺め

それを脱いだ上着の下に隠すように置いた。

コーヒーが来ると

味わうようにちびちび飲んでいる。

絵になるのでつい目が引き寄せられてしまう。

コーヒーを飲みながら、気になるのか

時折上着の下に置いている箱を取り出し

なんとなくウキウキとした様子で眺めている。

早く渡したくてたまらない感じが

傍観者の私にも伝わってくる。

腕時計を何度も確認し

あきらかにソワソワしている。

こんなにめかし込んだ老紳士を

長いこと待たせているのは

一体どんな相手なんだろう？

やがて…

息せききってドスドスと音を立てて

やってきたのはアラフォー？アラフィフ？

そこそこのお年とおぼしき女性だった。

慌てて来たのか髪はボサボサで

服装もテキトーなヨレヨレの普段着。

特にお化粧もしておらずやたら声がデカい。

老紳士はこの人に会うためにこんなに

身なりを整えてパリッと決めているのに

相手は全くおしゃれをしていないなんて

そんなのかわいそう過ぎる！

女性は席につくや

まくし立てるようにペラペラと話し始め

紳士はウンウンと静かに耳を傾けていた。

なんとなくだが

大学教授とその教え子だったのかな？

と思った。

上着の下に隠してある贈り物を

渡すところまで見届けたかったけれど

私もこの時は連れがいたので

後ろ髪引かれながらも喫茶を出た。

素敵な老紳士だったな。

そして、お洒落は会う相手のためにするもの

という誰かの言葉を思い出し

これはまったく至言だ、と思った。